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2005年12月 2日 (金)

ヘリコバクターピロリ菌

「ピロリ菌は退治出来ます。まぁ、100%駆除できるとは言い切れないんですが、抗生物質を一週間飲み続ける方法です。どうします?やってみますか?」

イカツイ先生のその問いかけが終わる前に「やります!」と私は返事した。

自分の胃の内部がイクラ状のブツブツ鳥肌を立てて嫌がっている菌である。私が退治してやらねば、これから先ひねくれあげて胃本来の働きをしてくれない事になってしまう。それだけは勘弁被りたかった。

「え~、それでは解りました。薬を処方しましょう!え~っと・・・」私としゃべりながらカルテにすらすらと英語のようなものを書いていたペンが止まり、イカツイ先生は固まっている。

いったいどうしたのかと先生の顔とカルテを交互にキョロキョロ見ていると、「なんだっけ?」とタウンページぐらいデカイ医学書をペラペラめくり始めたのである。

どうやら何の薬を処方したらよいか忘れていた様子だ。

胃腸科と掲げていながら、最近流行りに流行りまくっている菌に対抗する薬がなんだったか忘れようとは、言語道断である。

不安と疑いの視線を飛ばしまくる私に気付いたのか「いやぁ~、薬の組合わせにもいろいろありましてね?あなた胃が弱ってますから、どの組み合わせが良いかな?・・・胃薬も出しておかないと・・・おぉ、これこれっ!」と少々慌てながら、カルテに薬の名前を読めない字で書き出した。

「これで、やってみましょう!」イカツイ先生の顔は自信に満ち溢れていた。それとは逆に私の胸中はほんとにこれで駆除出来るのであろうか?という不安で一杯だったが、医学書の後押しがあっては何も言えない。薬を処方してもらい、トボトボと家に帰った。

そもそもヘリコバクターピロリ菌とはどんな菌なのであろうか?

なんとも奇妙な名前である。家に着くなりインターネットで検索してみた。

さすがテレビで有名になるだけあって、検索結果はたくさんあった。とりあえずトップに上がってきたサイトを開いてみた。とても詳しく書いてある。名前の由来や、感染経路、ピロリがいることによってどんな障害があるのか、発見者は誰かなどなど。読めば読むほど、私の「へぇ」は増えていき、「87へぇ」ぐらいにはなった。

ヘリコとはヘリコプターからとってあり、ラセン状の、とかいう意味らしい。バクターはバクテリア、つまり細菌である。最後の、人類を小馬鹿にしたようなピロリとは、胃の出口である幽門、「pylorus」という場所から多く発見される為、そう命名されたようだ。

それなりに考えられているようである。

ラセン状の、というからには、グリグリねじまがった姿をしているのだろうと勝手に想像しながら写真をみると、全く違っていた。

健康な人間がするウンコに数本毛が生えたような、まねけな姿だったのだ。

一体どこが「ラセン」なのか?「リング」「らせん」の主人公サダコもびっくりして井戸にまっさかさまである。

よくよく読むと、どうやら力なく生えてある数本の毛をグルグル回転させながら、胃の内部を移動すると書いてあった。その様子がヘリコプターに似ている。

ウンコがシッポを振りまわす姿など見たくもない光景である。

感染経路としては、主に経口。口から入ってくるらしい。それはそうだろう、とどんどん読んでいくと、

ピロリは糞の中にいるというではないか!

そんなものを口にする趣味は全くないし、アラレちゃんのように棒切れで突っつく遊びもしたことはない!それに誰の糞に潜んでいたヤツなのか。

見ず知らずの真っ赤な他人、それも酔っ払いのオヤジの糞から飛んできたものだとしたら、主人に離婚されてしまう。

あまりのショックにそれ以上見る気がしなくなった。これ以上ショッキングな真実を受け止められるほど私の精神状態は良好ではなかった。

主人に離婚される前に駆除しなければ・・・パソコンを閉じた後、食後に飲めとの指示を完全に無視して薬を飲んだ。

1度に7錠だ。飲むと言うより、食べると言ったほうが正しいだろう。オメプラール2錠、サワシリンカプセル3錠、クラリス2錠、以上が抗生物質。後胃の粘膜を保護するムコスタ1錠。抗生物質は朝・晩。胃薬は朝・昼・晩。それを食後にきっかり一週間飲み続けるのだ。

飲み始めてからすぐに変調があった。

とにかく口の中が苦いのである。薬の成分が唾液にまで浸透しているようだ。

朝の目覚めも口のあまりの苦さで目が覚め、寝るが寝るまでその苦さのためにピロリを意識させられる破目になった。

おまけにプゥ、つまり屁が臭い。

何でこんなに臭うのか?と言うぐらい臭いのだ。トイレにこもってうっかり出した日にはガス室処刑だ。

でもよくよく考えると、ピロリが死んでその死骸の臭いと思えば気分が明るくなった。

姿がウンコである。

そんなヤツの死骸は臭いに決まっている。臭いのは死んでる証拠だ、とプゥプゥしては臭いを嗅ぎ、「死んでる死んでる」とニヤニヤした。

苦しみの7日間も過ぎ去り、薬を飲み終えた後、胃の調子が悪いと言うことは全くなかった。モリモリ食べようが、食事時間が遅かろうが私の胃はビクともしなかった。

完全に死滅したのである。

これだけ調子がいいのだからと、病院へは再検査にはいかなかった。イカツイ先生も特に来いとは言わなかった。

  

そして1ヶ月後・・・主人の実家で母たちとお茶を飲みながらテレビを見ていたときである。

銭金のリポーターなどしているピン芸人の土田さんが「いやぁ~、ピロリ菌がいると言われて、一週間ぐらい薬飲んだことがあってですね?」と話している。

主人の父母も「メグミさん、この人もだってよ?」と興味深く話の続きを聞いていた。

「飲み終わった後、どうなったか気になったので再検査に行ったら、先生から『ピロリ元気ですよ』と言われました。はははははっ!」

・・・・・・・・・お笑い芸人の癖に私から笑いの全てを奪った瞬間であった。

「メグミさん、あんたの腹にゃまだ『ぺロリ』がいるんじゃないかい?」

と聞く主人の母の横で、母の愛犬がチンチンをしていた。 

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コメント

おはようございます。
昨夜はさっそくのブログへのお返事、ありがとうございました。

胃腸、治って良かったです。

イカツキ先生のあたふた姿にも驚きましたが、
処方して頂いた薬があって良かったですね。

ネットで調べたとありましたが、読むにつれてMEGUさん不安に
なりませんでしたか?

どうぞ、お体には気をつけて下さい。
また遊びに伺います。

投稿: hanako | 2005年12月 2日 (金) 12時07分


MEGUさん ゴメンね アナタの病気は本気で心配してる私ですが
文章は最高です、笑ってしまいました。
ジョークが言えるうちは 大丈夫 アナタの文章は明るい 前向きに考える人は治癒力があるって聞いたことあります。
笑いは 自然の万能薬なんだよー、で 再検査行くのですか?

投稿: +あい | 2005年12月 2日 (金) 12時36分

ほんの短い手紙でも心豊かなひとには何よりも嬉しいみたいです。手紙に感動しないひとはやっぱりどこか冷たいみたい。

投稿: バツイチ女のひとり言 | 2005年12月 2日 (金) 17時42分

遊びにきました。
胃カメラにピロリ菌・・・大変でしたね。
私も以前胃炎になってしまって、胃カメラをやりました。
苦しかった。
本当に苦しかった。
飲めないって思っているのに「はい、飲んで」とか言われるし、げーって反射がきているのに無理やりカメラと入れられて、こんなの2度と御免だと心から思ったものです。
直ってよかったですね。

投稿: | 2005年12月 2日 (金) 22時29分

コメント、ありがとうございました。
ピロリ菌・・・名前はギャグみたいですけど、恐ろしいですね。
再検査いかれた方が良いのでは?
体は大事にしてください。
あ、それと、僕のページ、また覗いてみて下さいね。

投稿: 自由人 | 2005年12月 2日 (金) 23時19分

大変だったね。
でも・・・ごめん。ニヤ~としながら記事を読んでいた自分がイメージできます。
これからも頑張ってね!
応援してます。
いつもありがとう!

投稿: ONO THE WORLD | 2005年12月 3日 (土) 00時50分

あるでござぁ~す。よく頑張ったんやな~。面倒でも始めに頑張ってやっつけないと薬に耐性を持ったスーパーピロリになるんですよね~!サイヤ人みたいな奴ですね。

投稿: ある | 2005年12月 3日 (土) 03時02分

MEGUさんいつもコメントありがとうございます!!
うれしい限りです!!
俺もついさっきブログ読ませてもらいました。。
文章の書き方がうまい!!そして内容が面白くて笑えてしまいました!!
ピロリはきっと全滅してますよ(笑)
ではでは明日(今日!?)、映画楽しんでくださいね!!
また感想をお聞かせください(笑)

投稿: West Villageの住人 | 2005年12月 3日 (土) 03時39分

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